BRICS、現地通貨決済を継続協議 日本企業は何を確認?
ひとことで
BRICSは現地通貨決済の協議継続で一致。日本企業は通貨、送金経路、手数料を契約ごとに確認。
情報の確かさ:二重確認済み
結論
BRICS首脳は9月12日、ニューデリー宣言を採択しました。現地通貨での貿易決済と決済網の接続を引き続き協議します。ただし共通通貨の導入や、企業の請求通貨を変える決定ではありません。
何が起きた?
宣言は、加盟国間の決済を速く、安く、安全にする実務策をBRICS決済タスクフォースで継続協議すると明記しました。各国の決済・送金網の接続を研究し、現地通貨による貿易・投資の決済を話し合います。
一方で「一律の方法はない」とも明記。共通通貨、参加義務、稼働日、手数料目標は示していません。貿易書類の電子化や、中小輸出企業が請求書を使って早く資金を得る仕組みも研究対象です。
なぜ今?
制裁、関税、戦争で送金や物流が不安定になり、ドル中心の決済に代わる経路への関心が高まっています。Reutersによると、BRICS諸国は世界人口の4割超、世界経済の約4分の1を占めます。中国、インド、UAEなどとの取引にも関係します。
第三者の見方
Reutersは、ドル建て銀行に頼らない決済網を進める一方、加盟国の目的や外交方針の違いが合意を難しくすると指摘。宣言と、銀行で使えるサービスは分けて見る必要があります。
生活・仕事への影響
すぐに日本の物価、給料、預金金利、住宅ローンは変わりません。企業も既存契約を直ちに変える必要はありません。
請求額1000万円で送金費用が仮に1.0%から0.7%へ下がれば、差は3万円です。ただし現地通貨で受け取る場合、為替変動が費用減を上回ることもあります。通貨、交換レート、手数料、入金日を別々に確認しましょう。
過去の似た局面
2024年のカザン宣言と2025年のリオ宣言でも越境決済を協議しました。今回は接続性の研究を確認しましたが、なお「協議継続」です。共通通貨の開始ではありません。
筆者の見方
第一は、技術協議が続き、当面の実務は変わらない可能性です。第二は、一部の国・銀行間で現地通貨決済が増える可能性。ただし対象や条件は未定です。第三は、規制や加盟国間の違いで導入が遅れる可能性があります。時期は現時点では判断できません。
今日できること
- 取引先ごとに請求通貨、受取銀行、手数料、平均入金日を整理する。
- 見出しだけで契約を変えず、銀行の正式なサービス開始を確認する。
- 新しい見積書には通貨、換算日の基準、送金費用の負担者を書く。
人に話すなら一言
BRICSは共通通貨を始めたのではなく、現地通貨で送金しやすくする方法を話し合う段階です。
明日以降に見るポイント3つ
- 決済タスクフォースの工程表:利用開始日と対象国が分かるため。
- 各国の中央銀行・銀行の発表:宣言が実際の送金サービスになるかを見るため。
- 企業の請求通貨と送金費用:日本企業への実益を確かめるため。
用語解説
- BRICS(BRICS)=ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカを起点に拡大した協力枠組み。
- 国境を越える決済(Cross-Border Payments)=異なる国の企業や個人が代金を送受信すること。
- 現地通貨決済(Local-Currency Settlement)=ドルなど第三国通貨を介さず、取引国の通貨で代金を払うこと。
参照資料
一次情報
- インド首相府「BRICS New Delhi Declaration: Building for Resilience, Innovation, Cooperation and Sustainability」(2026年9月12日)