米雇用16.2万人増、日本の円相場と米国向け仕事はどう見る?
ひとことで
米雇用は8月に16.2万人増へ反発。日本は円相場より、米国向け受注と賃金の持続性を確認。
情報の確かさ:二重確認済み
結論
米労働統計局が9月4日に発表した8月の雇用者数は前月比16万2000人増。7月の2万1000人増から大きく加速し、市場予想の5万6000人増を10万6000人上回りました。ただし増加は一部業種に偏り、日本では米国向けの実受注を見ましょう。
何が起きた?
失業率は4.1%で前月と同じ。働くか仕事を探す人の割合である労働参加率は61.6%で、前月から0.2ポイント上がりました。平均時給は37.75ドルで前月比0.3%増、前年同月比3.1%増でした。
雇用増の中心は飲食店の5万9000人と地方政府の教育部門の4万2000人です。この2分野だけで全体の62.3%を占めました。製造業は1万6000人増、情報産業は2万3000人減。16.2万人増は、すべての業種が同じ強さという意味ではありません。
なぜ今?
9月2日公表のADP民間雇用は3万8000人増でした。今回は政府部門も含む別調査で、雇用の反発を示しました。米景気、金利、ドル円を考える新しい材料ですが、両統計は対象と方法が違い、単純な優劣ではありません。
第三者の見方
Reutersは、16万2000人増が5カ月ぶりの大きさで、米利上げ観測を強めたと報道。ただし飲食と政府教育が6割超を占め、季節調整の影響を指摘する見方も紹介しています。なおReuters本文の6月改定値は2万人ですが、米労働統計局の原文は3万1000人です。本稿は一次資料を採用しました。
生活・仕事への影響
日本の給料、預金金利、住宅ローンはすぐ変わりません。米消費が支えられれば、自動車、機械、旅行などの需要に追い風となる可能性があります。ただし業種差が大きく、現時点では判断できません。
ドル建て費用が年1万ドルなら、1ドル156円で156万円、160円で160万円。4円の差で4万円変わります。企業は相場予想より、請求日と換算レートを確認しましょう。
過去の似た局面
7月の雇用者数は当初2万3000人減でしたが、今回は2万1000人増へ4万4000人上方修正。6月も2万人増から3万1000人増へ修正されました。速報値は後から変わるため、単月だけで景気を決めつけないことが大切です。
筆者の見方
第一は、米雇用と消費が持ちこたえ、日本の輸出受注を支える可能性です。ただし雇用増は偏っています。第二は、米金利の高止まり観測から為替や調達費が動く可能性。物価統計を待つ必要があります。第三は、次回改定で強さが薄れる可能性があり、現時点では判断できません。
今日できること
- 企業は米国向け受注を製造、飲食、教育、情報など顧客業種別に分ける。
- ドル建て支払いを156円、160円など複数レートで試算する。
- 求職者は全米平均ではなく、希望職種と地域の求人・賃金を見る。
人に話すなら一言
米雇用は予想以上に増えましたが、飲食と政府教育に偏り、日本は実際の受注と為替コストを見る話です。
明日以降に見るポイント3つ
- 米国の物価統計:雇用の強さが利上げ判断へつながるかを見るため。
- 雇用者数の改定:16万2000人増が維持されるか確かめるため。
- 日本企業の米国向け受注:米雇用の反発が国内の仕事へ届くかを見るため。
用語解説
- 非農業部門雇用者数(NFP:Nonfarm Payrolls)=農業などを除く事業所の雇用者数。
- 労働参加率(Labor Force Participation Rate)=働く人と求職中の人が成人人口に占める割合。
- 季節調整(SA:Seasonally Adjusted)=季節的な増減を除いて前月と比べやすくする処理。