実質賃金2.4%増、給料の「買える量」は本当に増えた?
ひとことで
7月の実質賃金は前年同月比2.4%増。家計は平均額でなく、自分の手取りと固定費を確認。
情報の確かさ:二重確認済み
結論
厚生労働省が9月8日に発表した7月の実質賃金は、前年同月比2.4%増えました。プラスは7カ月連続です。ただし賞与を含む税引き前の平均なので、自分の生活が2.4%楽になったとは限りません。
何が起きた?
従業員5人以上の事業所で、現金給与総額は1人平均43万6401円。前年同月比4.7%増です。物価の影響を除く実質賃金指数は117.6、同2.4%増。計算に使う消費者物価は2.2%上昇しました。
内訳は、毎月の基本給や残業代など「きまって支給する給与」が30万1582円で4.1%増。賞与など特別給与は13万4819円で6.3%増え、給与総額の30.9%を占めました。パートの所定内時給は1460円、5.7%増です。
なぜ今?
物価高に賃金が追いつくかは、家計の買える量を左右します。同日公表の4~6月期GDP改定値は実質で前期比0.4%増、年率1.4%増でしたが、個人消費は前期比横ばい。景気が拡大しても、買い物が一気に増えたわけではありません。
第三者の見方
Reutersは、実質賃金の伸びが2021年5月以来の大きさで、6月の改定値2.2%増から加速したと報道。名目賃金、物価、特別給与が押し上げたとの厚労省説明も伝えました。
生活・仕事への影響
すぐに税金、預金金利、住宅ローンは変わりません。実質賃金は所得税や社会保険料を引く前の平均です。月30万円分の購買力が同じ比率で増えたと仮定すると7200円相当ですが、実際は昇給、賞与、家族構成、よく買う品目で違います。
今後、毎月の給与が物価を上回り続ければ、食料やサービスに回せる余地が増える可能性があります。企業は平均値ではなく、自社の基本給、賞与、採用単価、人件費率を確認しましょう。
過去の似た局面
実質賃金は6月の前年同月比2.2%増から7月は2.4%増へ加速。ただし7月は賞与の影響が大きく、同じ伸びが毎月続くとは限りません。速報値は確報で変わる場合もあります。
筆者の見方
第一は、定期給与の4.1%増が続き、購買力が緩やかに改善する可能性です。第二は、賞与効果が薄れ、伸びが鈍る可能性。第三は、物価が再加速して実質賃金を押し下げる可能性です。エネルギーや為替の影響があり、現時点では判断できません。
今日できること
- 7月の給与明細を基本給、残業代、賞与、控除後手取りに分ける。
- 手取りの前年同月比と、食費・光熱費・家賃の増減を比べる。
- 企業は一時金を除く定期給与と人件費率を前年同月と比べる。
人に話すなら一言
給料は平均で物価を2.4%上回りましたが、賞与込みなので、自分の手取りと毎月の固定費を見る話です。
明日以降に見るポイント3つ
- 8月の定期給与:賞与が薄れても賃金の伸びが残るかを見るため。
- 消費者物価:賃上げ後に買える量を決めるため。
- 家計消費:賃金改善が実際の買い物へつながるか確かめるため。
用語解説
- 実質賃金(Real Wage)=賃金から物価変動の影響を除き、買える量に近づけた指数。
- 現金給与総額(Total Cash Earnings)=定期給与と賞与などを合計した税・社会保険料控除前の給与。
- 消費者物価指数(CPI:Consumer Price Index)=家計が買う商品やサービスの価格変化を示す指数。
参照資料
一次情報
- 厚生労働省「毎月勤労統計調査 2026年7月分結果速報」(2026年9月8日)
- 厚生労働省「同結果速報・概況」PDF(2026年9月8日)
- 内閣府「2026年4~6月期四半期別GDP速報(2次速報値)」PDF(2026年9月8日)