サービス業52.5でも値上げ圧力、家計と仕事は何を見る?
ひとことで
8月のサービス業は5カ月ぶりの強さ。ただし価格転嫁が進み、家計は請求額、企業は粗利を確認。
情報の確かさ:二重確認済み
結論
S&P Globalが9月3日に発表した日本の8月サービス業PMIは52.5。7月の51.2から1.3ポイント上がり、5カ月ぶりの強さでした。ただし販売価格の上昇は調査開始以来2番目で、家計には値上げへの注意も必要です。
何が起きた?
PMIは50を上回ると、前月より事業活動が改善した企業が多いことを示します。52.5は売上が52.5%増えたという意味ではありません。
新規受注は26カ月連続で増加し、国内需要が支えました。一方、新規輸出受注は5カ月連続で減り、減少の速さは2020年11月以来の大きさでした。雇用は12カ月連続で増えましたが、増加ペースは1年で最も弱い水準です。
製造業を合わせた総合PMIは53.5。7月の52.7から0.8ポイント上がり、6カ月ぶりの強さでした。仕入れコストの上昇は4カ月ぶりの弱さへ鈍りましたが、依然高く、企業は販売価格への転嫁を進めました。
なぜ今?
日本国内の需要が強まる一方、採用と海外需要は弱いという新しい材料です。サービス価格は家計の支払いと企業の利益に直結します。
第三者の見方
Reutersは、国内需要が活動を押し上げた一方、輸出需要と採用は弱いと報道。S&P Globalの担当者は、価格圧力と景気改善が追加利上げを支持する材料になるとの見方を示しました。ただし政策決定ではありません。
生活・仕事への影響
すぐ起きるのは、各社がサービス料金を見直す可能性です。外食、宿泊、運送、業務委託などで値上げが広がる可能性がありますが、PMIから個別料金の上昇幅は分かりません。家計は月額料金と利用回数を分けて見ましょう。
企業は売上が増えても、賃金や外注費の伸びが上回れば利益は減ります。採用では応募数、提示賃金、欠員期間を確認しましょう。
過去の似た局面
サービス企業の販売価格上昇は、2007年の調査開始以来2番目。最大だった2014年4月は消費税率引き上げ直後でした。今回は税率変更ではなくコスト転嫁が中心で、同じ結果になるとは限りません。
筆者の見方
第一は、国内需要がサービス業を支える可能性です。新規受注の加速が根拠ですが、業種差があります。第二は、値上げが続き、売上ほど利益が増えない可能性。高い仕入れコストが根拠です。第三は、輸出需要の弱さが国内へ広がる可能性ですが、現時点では判断できません。
今日できること
- 家計は外食、宿泊、通信などの単価と利用回数を前月比較する。
- 転職者はPMIではなく、希望職種の求人件数と提示賃金を見る。
- 企業は国内・海外別の受注、平均単価、原価、粗利益率を確認する。
人に話すなら一言
日本のサービス業は強まりましたが、採用は鈍く値上げ圧力も強いため、景気の数字より請求額と粗利を見る話です。
明日以降に見るポイント3つ
- サービス価格:企業の値上げが家計の請求額へ届くかを見るため。
- 実質賃金:給料がサービス価格の上昇に追いつくか確かめるため。
- 新規輸出受注:海外需要の減少が国内の仕事へ広がるかを見るため。
用語解説
- 購買担当者景気指数(PMI:Purchasing Managers’ Index)=企業への調査から前月比の改善・悪化を示す指数。
- 総合PMI(Composite PMI:Composite Purchasing Managers’ Index)=製造業とサービス業を合わせた活動指数。
- 販売価格(Output Charges)=企業が顧客へ請求する商品・サービスの価格。